東京証券取引所が、既存の事業から暗号資産の大量保有へと急激に財務戦略を転換する「暗号資産トレジャリー企業(DAT)」等に対する監視を強化する方針であることが2月20日、明らかになった。
発端となったのは、東証が18日に公表した「市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」の資料だ。同資料では「上場適格性に懸念が生じる事業内容の大幅な変更」への対応が主要な議題として取り上げられ、事業の劇的な転換に対する監視強化の方針が示された。
資料内で過去に懸念が生じた事業変更の「個別の事例は非公表」とされている点について、NADA NEWSが取材したところ、取引所関係者は「狙い撃ちで特定の業種のみを念頭に置いたものではない。もちろん、(暗号資産トレジャリー企業が)全く含まれないという意味にはならない」と明かした。
東証の資料によると、近年、上場後に事業内容を大幅に変更する事例が発生しており、仮に当初から変更後の事業内容であった場合、新規上場審査の基準に適合しなかった懸念があることが指摘されている。
昨年は国内外の上場企業が相次いで暗号資産を財務資産として組み入れ、「DAT(Digital Asset Treasury)」と呼ばれる新たなビジネスジャンルが確立されるほど、この領域への参入が急増した。
現行の制度では、他社との合併などを通じて会社の実質的な中身が変わる場合には、新規上場に準じた審査が行われる仕組みがある。
しかし、企業が単独で事業内容を大きく変える場合については、上場企業としての適格性を改めて審査するルールは設けられていない。
[東証「スタンダード市場における今後の対応」から]
具体的な方策として、米国やオーストラリアの証券取引所で導入されている再審査制度などが参考にされる見通しである。
昨年11月にはブルームバーグが、もともとホテルの運営を本業としながら、現在はビットコイン(BTC)を大量保有する方針へと転換したメタプラネットなどの動向を背景に、JPX(日本取引所グループ)による「暗号資産トレジャリー企業」への事実上の裏口上場防止など、規制強化の検討を先行して報じていた。
当時、東証はウェブサイト上で「暗号資産トレジャリー企業の規制強化を検討している旨の報道がなされましたが、現時点で具体的に決まっている方針はございません」との声明を発表していた。
今回の資料公表と関係者の回答は、当時の報道や声明を裏付ける形で公式な議論が本格化したことを示しており、事実上、本業から乖離した財務戦略に対する牽制となる。
なお、暗号資産の保有状況をまとめたデータによると、世界のビットコイン保有企業トップ100には、メタプラネットのほか、ANAPホールディングス、リミックスポイント、コンヴァノなどの日本企業がランクインしている。
また、イーサリアムの企業保有ランキングにおいても、クオンタムソリューションズやデフコンサルティングといった日本企業が名を連ねている。
|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock
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