● 実現損失は拡大したが、歴史的な最終局面の水準には未達。
● MVRV・NUPL・LTH動向はいずれも極端な割安・降伏局面を示していない。
● 実現価格付近が構造的分岐点であり、需要回復の有無が今後の鍵。
現在のビットコイン市場は、弱気トレンド下における戻りと調整が交錯する局面にある。現時点では条件付きで弱気バイアスがやや優勢と整理できるが、過去のサイクル終盤で確認されたような、構造的かつ広範な降伏の兆候までは至っていない。
直近では、価格が62,000ドルまで下落した局面で、1日あたり約54億ドルの実現損失が発生した。これは2023年3月以来の規模であり、FTX崩壊直後を上回る水準である。短期的な投げ売りと清算圧力が集中したことを示すデータであり、一部では底打ち観測も出ている。しかし、月次累積の実現損失は約0.3百万BTCと、2022年末の弱気相場底(約1.1百万BTC)と比べると依然として小さい。歴史的な底形成局面で見られた損失規模には届いていない。
CryptoQuantの分析によれば、評価指標も同様の構造を示している。MVRVは依然として極端な割安圏には入っておらず、過去のサイクル底では同指標がこの領域へ低下し、数か月間滞在する過程を経て基盤が形成されてきた。また、NUPLも極端な含み損水準には達していない。歴史的には、保有者全体が概ね20%前後の未実現損失を抱える局面で価格の最終調整が進みやすい傾向があるが、現状はその条件を満たしていない。
長期保有者(LTH)の行動も決定的な降伏を示していない。現在は概ね損益ゼロ付近での売却が観測されるが、過去の弱気相場底で確認された30〜40%の損失確定局面とは異なる。CryptoQuantのブル・ベア市場サイクル指標も、依然としてBEARフェーズにとどまり、歴史的に底形成の起点となるEXTREME BEARフェーズには入っていない。極端域への移行と、その数か月にわたる滞在が確認されるまでは、構造的底打ちを断定する根拠は限定的である。
一方で、現在の価格は実現価格付近を約18%上回っている。この実現価格(約55,000ドル)は、過去の弱気相場で重要な支持帯として機能してきた水準である。前回二度の弱気相場では、この水準を一時的に下回った後、4〜6か月程度その周辺で推移した。仮に同水準へ接近する場合でも、即時反転というよりは、需給の吸収と時間を伴う調整が想定されやすい。
なお、過去のNADA NEWS記事「新規需要なき価格調整──Apparent Demandが示すビットコイン市場の現在地【エックスウィンリサーチ】」(2026年2月2日)においても、新規需要が回復していない限り、価格が高水準を維持していても需給構造は脆弱であり、レンジ内調整が続きやすいと指摘してきた。現在もApparent DemandおよびRealized Capの動向からは、明確な需要回復は確認されていない。構造面では、売り優勢から中立への移行過程にあるが、需要主導の反転局面とは言い難い。 (過去の記事:https://nadanews.com/335493/)
反対シナリオとしては、MVRVやNUPLが極端な割安圏へ移行し、LTHの損失確定売りが明確化することで最終局面入りが進む可能性がある。一方、実現価格帯で売り圧が吸収され、Realized Capの持続的上昇やApparent Demandの回復が確認される場合には、需給構造の改善を再評価する必要がある。
現時点では、弱気調整フェーズが継続し、評価面から見て極端域には未到達という見方がベースシナリオ。ただし、新規需要の明確な回復、もしくは評価指標の極端化が確認される場合、この見方は見直す必要がある。
オンチェーン指標の見方
MVRVとは:時価総額(Market Cap)を実現時価総額(Realized Cap)で割った評価指標。市場参加者全体がどれだけ含み益・含み損を抱えているかを示す。極端に低下すると歴史的には割安圏とされ、底形成局面と重なりやすい。
NUPLとは:未実現損益(含み益・含み損)の純割合を示すオンチェーン指標。保有者心理の過熱や恐怖の度合いを構造的に可視化する。極端な含み損水準に近づくと、降伏局面や底打ち形成と重なりやすい。
デジタル通貨カンファレンス
登録無料
✉️ 今すぐ申し込む
![[Inside the Newsroom] 愛のためにすること…](https://www.rappler.com/tachyon/2026/02/journalism-love-feb-13-2026.jpg)
![[テック・ソート] Discordの「ティーン・バイ・デフォルト」設定はユーザーにとって一長一短](https://www.rappler.com/tachyon/2026/02/discord-tech-thoughts-graphics-feb-13-2026.jpg)
