● 高値圏で形成された供給の約44%が含み損に入り、保有者の耐性が検証される調整フェーズにある。
● NUPLは0.29付近まで低下し、価格より先にセンチメント余力の縮小が進んでいる。
● 現時点の焦点は下落幅ではなく、含み損環境下で売却圧力が顕在化するかどうかにある。
現在のビットコイン市場は、上昇トレンド後の調整が進行した結果、高値圏で形成された供給が実際にどの程度維持されるのかを検証する局面にある。価格水準そのものよりも、取得コストが集中するゾーンにおいて、保有者がどのような行動を取るのかが問われている段階と言える。方向性としては弱気が条件付きで優勢だが、現時点で市場構造全体が崩壊したと評価する状況ではない。「下落トレンド初期」というよりも、耐性と確信が試される調整フェーズと位置づけるのが妥当である。
直近1か月で価格は約108,000ドルから73,000ドル前後へと約32%下落した。この調整に伴い、含み益のある供給割合は78%から56%まで低下し、供給全体の約44%が含み損の状態に移行している。特に、直近の高値圏付近で取得された供給が多い点は重要であり、これらの保有者は、含み益を背景とした余裕あるポジションから、取得コストを下回る水準に近接、あるいは一部で割り込む状況へと急速に移行したことになる。
このような環境では、今後数週間から数か月にかけて、これらの保有者が売却に踏み切るのか、それとも保有を継続するのかが需給面の主要な論点となる。含み損の存在そのものが直ちに売りを誘発するわけではないが、価格が反発する局面では、心理的な戻り売りが発生しやすい構造にあることは否定できない。
添付のオンチェーンデータが示すように、BTCのNet Unrealized Profit/Loss(NUPL)は現在0.29付近まで低下している。市場全体としては依然として含み益が残っているものの、この水準は、過去の明確な強気局面と比べると心理的な余裕がかなり薄くなっている状態を示している。NUPLは価格変動に先行して市場参加者の心理状態を反映しやすい指標であり、現在は「楽観」よりも「忍耐」が求められるゾーンに入っていると解釈できる。
一般に、NUPLが0付近へ近づく局面では、価格水準以上にセンチメントの耐性が先に試される傾向がある。含み損の拡大は必ずしも即時的な投げ売りを意味しない一方で、需給の均衡が崩れた場合には、売りが連鎖しやすい状態でもある。そのため、短期的な値動きよりも、オンチェーン上で実現損益や保有期間別の動向がどのように変化するかを注視する必要がある。
現時点では、高値圏で取得された供給の耐性を検証する調整局面がベースシナリオであると考えられる。ただし、含み損供給の増加にもかかわらず売却圧力が顕在化せず、オンチェーン指標が安定、あるいは改善に向かう兆候が確認される場合には、この見方は見直す必要がある。
重要なのは、将来の価格を予測することではなく、現在の市場がどの段階にあり、どの力関係が優勢なのかを正確に定義し続けることである。
オンチェーン指標の見方
Net Unrealized Profit/Loss(NUPL)は、ビットコイン市場全体がどの程度「含み益」または「含み損」の状態にあるかを示すオンチェーン指標である。時価総額と実現時価総額の差から算出され、投資家の心理的な余裕やストレスの度合いを把握するのに用いられる。数値が高いほど楽観が優勢で、0付近に近づくほど「忍耐」や「諦め」が試される局面を示唆する。
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