経済産業省所管の国立研究開発法人「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)」が、ブロックチェーン分野を対象とした賞金付きのコンペティションを開始する。優勝者には数千万円の懸賞金が授与される。
北海道函館市で開催中の「暗号と情報セキュリティシンポジウム(SCIS)」のナイトセッションにおいて、懸賞金事業「NEDO Challenge」の新規テーマの概要が発表されたと、ジョージタウン大学およびバージニア工科大学の松尾真一郎氏がXに投稿した。
松尾氏は暗号理論が専門で、最近では金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」の委員を務めた。またブロックチェーン領域の共通したガバナンス形成を目指す国際団体BGIN(ビギン、Blockchain Governance Initiative Network)の創設メンバー・共同議長でもある。
量子コンピューター耐性と鍵管理がテーマ
松尾氏のツイートによると、2026年(令和8年度)に開始され、期間は3年間。新規テーマとして、以下の2つの主要テーマが設定されている。
①量子計算機耐性(PQC)への移行:ブロックチェーンを量子計算機に耐性のある暗号方式へ移行する技術
②高度な鍵管理方式:MPC(Multi-Party Computation)、マルチシグ、ZKP(Zero-Knowledge Proof)などで使用される鍵の管理方式
ブロックチェーンの量子計算機耐性は、今、暗号資産(仮想通貨)領域で大きな課題となっている。例えば、Ethereum Foundation(イーサリアム・ファウンデーション、EF)は、専任の「Post Quantum」チームを新設。米暗号資産取引大手のCoinbaseは、独立諮問委員会を設立した。
一方、鍵管理も大きなテーマだ。日本では暗号資産の規制法が、現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)に移行することが見込まれており、交換業者向けに鍵管理を行うウォレットのような重要なシステムを提供する事業者には事前の届出が義務づけられる。交換業者は、届出業者でなければ利用できない可能性が高い。
松尾氏のツイートによると、詳細は今後順次発表の予定。3月2日に東京で開催される「BGIN Block14」で、発表とコンペティションの大枠が議論される。また、コンペティションの結果はBGIN標準、そしてISO/TC 307国際標準化への基盤となるという。
さらに松尾氏は連投したツイートの最後を「このコンペティションを通じて得られた安全な技術により、セキュリティリスクの算定がやりやすくなり、金融規制や監督を円滑にする効果も見込まれると考えています」と結んでいる。
|文:増田隆幸
|写真:松尾真一郎氏(2025年10月のオンライン取材より)
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