不動産クラウドファンディングサービスなどを展開するロードスターキャピタルは12月25日、セキュリティ・トークン(ST、デジタル証券)の発行・流通基盤を持ち、ST専業の証券会社Hash DasHを傘下に置くHash DasH Holdingsの全株式を取得し、完全子会社化したと発表した。
両社の経営資源を融合することで、グループ内でST事業の展開に必要なリソースをほぼ全て内製化し、不動産STO(セキュリティ・トークン・オファリング)を一気通貫して行うことが可能になるとしている。
ST事業は、裏付け資産の評価・運用、証券化、ST化など、それぞれで高い専門性が求められ、発行体、証券会社、システム、信託などが協業して推進するモデルが一般的。だが一方で、リリースが指摘するように、「中間コストの大きさ」「スピード感」といった構造的課題も抱えていた。
TMI総合法律事務所パートナーで、ST事業に詳しい弁護士の成本治男氏は自身のフェイスブックで「いよいよ不動産セキュリティトークンは次のステージへ」として本件に触れ、「オンラインのみで不動産STを販売する形や、あるいは不動産クラファン会社さんなどが自己募集スキームで不動産STを販売するという形が、今後ますます増えるのではないかと思います」と述べている。
今回の動きは、そうした課題にチャレンジする取り組みと言える。新たに垂直統合によってセキュリティ・トークン事業の推進に臨む事業者が登場したことは、ST市場が規模の拡大と案件の多様化のみならず、事業モデルも多様化していることを示している。
|文:増田隆幸
|画像:リリースより

